
WBGT(暑さ指数)完全ガイド|熱中症警戒アラート・危険レベルの見方と運動制限の基準
熱中症対策の基準となるWBGT(暑さ指数)の計算方法・危険レベルの見方・運動制限基準を解説。環境省の熱中症警戒アラートや日本スポーツ協会のガイドラインに基づいた夏の安全管理知識を紹介します。
WBGTとは何か
**WBGT(Wet Bulb Globe Temperature:湿球黒球温度)**は、熱中症リスクを評価するための指標です。単なる気温だけでなく、**湿度・輻射熱・気流(風)**の3要素を組み合わせて算出されます。
気温が同じ35℃でも、湿度が高い日と乾燥した日では体感はまったく異なります。WBGTはこの体感温度のリスクをより正確に反映する指標として、スポーツ・労働・日常生活の熱中症対策に広く活用されています。
WBGTの計算方法
屋外(自然換気下)の計算式
WBGT(屋外) = 0.7 × 自然湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度(気温)
- 自然湿球温度(NWB):濡れたガーゼを巻いた温度計の示す温度。蒸発による冷却を反映し、湿度の影響が大きい
- 黒球温度(GT):黒く塗った中空球体(黒球温度計)の温度。太陽の輻射熱の影響を反映
- 乾球温度(DB):通常の気温
係数の意味:湿球温度に0.7という最大の重みが与えられており、これは湿度が熱中症リスクに最も大きく影響することを示しています。
屋内(無風・輻射熱なし)の計算式
WBGT(屋内) = 0.7 × 自然湿球温度 + 0.3 × 乾球温度
屋内では輻射熱(黒球温度)の影響がないため、黒球温度の項がなくなります。
簡易計算(気温と湿度から)
精密な計算には専用測定器が必要ですが、気温と湿度から近似的に推定することもできます。
熱中症危険度チェッカー気温と湿度から簡易的な暑さ指数(WBGT)を算出し、熱中症の危険度を判定します。 単位換算長さ・面積・重さ・体積・温度・衣類サイズをオフラインで簡単換算。日本スポーツ協会のWBGT基準(運動制限ガイドライン)
日本スポーツ協会(JSPO)は、スポーツ活動時のWBGTに基づいた運動指針を定めています。
| WBGT | 危険度 | 運動に関する指針 |
|---|---|---|
| 31℃以上 | 運動は原則中止 | 特別の場合以外は運動を中止する。熱中症の危険性が極めて高い |
| 28〜31℃ | 厳重警戒(激しい運動は中止) | 体力の低い人・暑さに慣れていない人は運動を中止する |
| 25〜28℃ | 警戒(積極的に休息) | 激しい運動・長時間の運動は避ける。積極的に休息をとり水分補給を |
| 21〜25℃ | 注意(積極的に水分補給) | 熱中症の危険が増す。積極的な水分・塩分補給が必要 |
| 21℃未満 | ほぼ安全 | 通常は熱中症の危険は小さい |
子ども・高齢者・疾患を持つ人への注意
WBGT基準は健康な成人を基準としています。子ども・高齢者・疾患(心臓病・腎臓病・糖尿病等)のある方は、より低いWBGTでも危険があります。
- 子ども:体温調節機能が未発達。体重に対する体表面積が大きく熱を吸収しやすい
- 高齢者:暑さを感じにくい(感覚低下)、発汗量が少ない
- 薬服用中の方:利尿剤・抗コリン薬・β遮断薬等は熱中症リスクを高める
環境省「熱中症警戒アラート」
環境省と気象庁は、都道府県ごとに熱中症警戒アラートを発表しています。
| アラート種別 | 発表基準 | 推奨行動 |
|---|---|---|
| 熱中症警戒アラート | 都道府県内のWBGT予測値が33以上 | 不要不急の外出を避ける・エアコン使用 |
| 熱中症特別警戒アラート(2024年〜) | 都道府県内のほぼすべての地点でWBGT35以上 | 原則外出禁止レベルの強い呼びかけ |
**熱中症特別警戒アラート(2024年創設)**は、従来の熱中症警戒アラートよりも高い危険水準で、特に危険な事態が予測される際に発令されます。
職場での暑熱対策(労働安全衛生)
厚生労働省は2021年以降、職場での熱中症対策としてWBGTに基づく管理を推奨しています。
| 作業強度 | WBGT値の目安(参考値) |
|---|---|
| 安静(ほとんど動かない) | WBGT 33℃程度まで許容 |
| 軽作業(立ち作業・機械操作) | WBGT 28℃程度まで |
| 中程度作業(歩行・持ち運び) | WBGT 26℃程度まで |
| 重作業(スコップ・重量物運搬) | WBGT 25℃程度まで |
体が暑さに慣れていない人(暑熱馴化)が短時間に熱中症になりやすい。梅雨明け直後・猛暑の始まりは特に注意が必要です。
WBGT測定器の種類
専用測定器
- デジタルWBGT計(熱中症計):市販品で数千円〜購入可能。屋外の輻射熱を測定するタイプと屋内専用タイプがある
- おすすめシーン:学校・部活動・工事現場・農作業
スマートフォンアプリ・Webサービス
- 環境省の熱中症予防情報サイトでは、都道府県別のWBGT予測値をリアルタイムで確認可能
- ただし、スマートフォンのみでは気温・湿度・輻射熱の全要素を正確に測定できないため、あくまで目安として活用
熱中症を防ぐための実践的な暑さ対策
WBGTが高い日の行動指針
28℃以上(警戒):
- こまめな水分補給(15〜20分ごとに100〜200ml)
- 休憩を積極的に取る
- 屋外では日陰を利用
31℃以上(厳重警戒):
- 激しい運動・屋外作業は避ける
- 冷房の効いた涼しい場所で過ごす
- 高齢者・子どもは特に注意
35℃以上(危険):
- 運動は原則中止
- 外出を避け、冷房のある場所に留まる
- スポーツイベント・屋外行事は中止を検討
水分補給の目安
- 運動中:15〜20分ごとに150〜250ml
- 1時間以上の運動:水分+スポーツドリンク(電解質補給)
- 食塩水(0.1〜0.2%):大量発汗時には塩分補給も必要
まとめ
| WBGT | 警戒レベル | 主な対応 |
|---|---|---|
| 31℃以上 | 危険(原則中止) | 運動中止・外出を避ける |
| 28〜31℃ | 厳重警戒 | 激しい運動中止・積極休憩 |
| 25〜28℃ | 警戒 | こまめな休息と水分補給 |
| 21〜25℃ | 注意 | 積極的な水分・塩分補給 |
| 21℃未満 | ほぼ安全 | 通常対策 |
WBGTは気温だけでは測れない「本当の暑さリスク」を示す指標です。夏のスポーツ・作業・日常生活で活用し、熱中症を予防しましょう。
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